リーマンショック後の世界経済原則のキーは新興国にあった

海外経済の減速が鮮明化する

リーマン・ショック後の世界経済の回復過程で、筆者が一貫して掲げてきたシナリオは、以下のようなものであった。

 

 

@バランスシート問題を抱える米欧や「経済の老化」問題を抱える日本などの先進国は、内需の回復が脆弱で長期停滞は避けられない。バランスシート調整に時間を要する以上、米欧の本格回復はあり得ない

 

A新興国経済は、自国の拡張的な財政・金融政策の効果に加え、固定的な為替レート制を通じて先進国のゼロ金利政策の効果が波及するため、総需要の高い伸びが続く。この結果、先進国は新興国向け輸出に支えられて校訓こ回復する。

 

実際、2009年以降、筆者の見立て通り、世界経済の拡大は中国やブラジル、インドなどの新興国に牽引された。こうしたシナリオを立てた際、同時に筆者は、景気回復の副作用である新興国の景気過熱かコモディティ価格高騰のいずれかが世界経済の回復に終焉をもたらすと論じてきた。

 

@緩和的な金融環境の継続で総需要の高い伸びが続けば、新興国経済はいずれ供給制約に直面し、インフレ加速と同時に成長ペースの減速が訪れる。新興国向け輸出頼みの先進国経済、ひいては世界経済の失速は避けられない。

 

A新興国経済の供給余力が大きい場合は、新興国の高成長は継続するが、その旺盛な需要がコモディティ価格の高騰を招く。ただでさえ内需の脆弱な先進国は、実質購買力が抑制されて景気は失速し、世界経済も減速局面に入る。

 

今春以降、新興国の景気過熱とコモディティ価格高騰の副作用による世界経済の減速が見られ始めた。欧州のソブリン問題も世界経済の減速に拍車をかけるが、上記の要因でユーロ圏の成長ペースが鈍化したから、ソブリン問題が顕在化したとも言える。

 

この間、日本では、東日本大震災直後の大幅な落ち込みからの経済の持ち直しが続いていたため、世界の景気循環と乖離した動きが続いていた。さらに円高進展によって、欧米で見られたコモディテ刊面格高騰による悪影響がかなり相殺されていた。

 

現在、震災前の水準に経済活動がほぼ回復したことから、今後は海外経済の動向次第の動きになるだろう。政府・日銀を含め多くのエコノミストが想定していた「震災によるサプライチェーン問題などの供給制約が解消すれば、日本経済は輸出主導の回復軌道に復帰する]というシナリオは、修正を迫られる。

クレジットリスクが台頭する世界

世界の金融市場を考えると米国、ユーロ、日本ともに信用不安いわゆるクレジットリスクが台頭している。クレジットカードの使い道や、資産運用としてのFXには十分注意が必要であろう。