割安な日本株はBSの改善が指標になる

割安な日本株はBSの改善が指標になる

日本株は欧州問題解決への明確なロードマップが見えてこない限り、欧米株式市場に一喜一憂する、安値圏でのボックス相場が続くと想定される。しかし、外需株は夏以降、大きく下落した銘柄が多数あり、バリュエーションには割安感も出てきている。

 

例えば、12ヵ月先予想EV/EBITDA(簡易買収倍率)は2011年10月5日時点で、東証1部の外需株は5.1倍と、同内需株(除く金融)の6.5倍よりも割安である(東洋経済予想)。また外需株のリーマン・ショック後の月末最低値は2008年10月の4.9倍であり、その水準に近づいている。

 

12ヵ月先予想EV/EBITDAが割安水準にあるのは株式時価総額が低下したことが主因であるが、EV/EBITDA構成要素の分母の12ヵ月先予想EBTTDAは足元、震災の影響から回復途上にあり35.4兆円と、2008年10月の41.3兆円よりも小さい。

 

これに対し、分子の構成要素である手元流動性は2008年10月:40.6兆円→足元:48.5兆円と増加し、同有利子負債は2008年10月:100.0兆円→足元:94.5兆円と減少した。

 

このため、EV(企業価値=時価総額十有利子負債一手元流動性)は2008年10月の203.7兆円から、足元には182.0兆円と減少している。手元流動性の増加とデレバレッジの動きが12ヵ月先予想EV/EBITDAの低下要因となっている。今後、12ヵ月先予想EBITDAが下方修正される懸念は残るが、リーマン・ショック時よりもバランスシートの改善が進んでおり、より小さいEBITDAでも割安になりうるだろう。

 

割安指標からの日本株見直しの動きとして、EV/EBITDAのような買収価値を探る指標が注目される可能性があり、物色面でもEV/EBITDAで割安な銘柄などが注目されると考えられる。

クレジットリスクが台頭する世界

世界の金融市場を考えると米国、ユーロ、日本ともに信用不安いわゆるクレジットリスクが台頭している。クレジットカードの使い道や、資産運用としてのFXには十分注意が必要であろう。